始まりは一本の電話。「道路に大きなひび割れが…」

令和3年7月、激しい大雨が続いたある日のことでした。地域にお住まいの方から、切実な声で私に電話が入ったのです。「寺岡さん、道路にずっと長くひびが入っている。崩れるかもしれないから見に来て!」

すぐに現場へ向かいました。そこは南毛利スポーツセンターのグラウンドの斜面の上、住宅街前の市道です。確認すると、数メートルにもわたってアスファルトに亀裂が走っていました。「これは放っておけない!」と直感した私は、即座に公民館や市の道路部に連絡を入れ、現場の確認を急いでもらいました。

「レッドゾーン」の指定と、市を挙げた大規模改修

調査を進めると、そこは土砂災害特別警戒区域、いわゆる「レッドゾーン」に指定されている場所でした。高さ10メートルから13メートルにも及ぶのり面(斜面)は、想像以上に危険な状態。厚木市としても、市民の皆様の命に関わる問題として、数年をかけた大規模な改修工事を行うことを決断しました。

工事の間、住民の皆様にはご不便をおかけしました。道路が狭く、工事車両が入るため、ご自宅の駐車場が使えなくなる期間もありました。「車が動かせないのは困るわよね」と心苦しく思いましたが、公民館のスペースを代替駐車場として確保するなど、市と協力して丁寧に対応を進めてまいりました。

工事で見えてきた「説明不足」という課題

今回の件で、私が特に大切だと感じたのは「丁寧な対話」です。

工事に伴い、斜面に生い茂っていた樹木をすべて伐採しました。安全のためには必要なことでしたが、工事が進むにつれ、のり面の上に住む方々から戸惑いの声が上がったのです。

「木がなくなったことで、強風が直接家に当たり庭木が倒れてしまう」

「こんなに景色が変わるとは聞いていなかった」

安全を確保することは第一ですが、そこで生活を営む方々にとっては、木一本が防風林の役割を果たしていたり、生活の安心感に繋がっていたりします。役所の説明が、住民の皆様の不安を払拭しきれていなかった。これは大きな反省点として、2月議会の一般質問でも厳しく、かつ前向きに取り上げました。

市民の皆様の「当たり前の日常」を守るために

2月議会の私の質問に対し、市側からは「可能な限り誠実に対応する」との回答を得ることができました。民有地と市有地の境目の問題は複雑ですが、行政ができることはまだあります。フェンスの設置や、今後の影響への配慮など、少しでも住民の方の不安を和らげるよう働きかけています。

現在は道路のひび割れもきれいに修復され、のり面もしっかりと固められました。大きな事故を未然に防げたことは、本当に良かったと思っています。

昭和の時代からそこに住み続けている方、新しく厚木に来られた方、すべての方に「厚木に住んでいて良かった」と思っていただけるように。これからも私は、ベテランならではの視点と心遣いで、皆様の心にも寄り添う活動を続けてまいります。